廃棄物処理法改正のパブリックコメント
本年も引き続き、当コラムのご愛読をどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今年一番目のコラムは、昨年末にパブリックコメントとして環境省より出されました廃棄物処理法の改正について、その方向性をご紹介します。
排出事業者に関すること
①虚偽のマニフェストに対する罰則の強化
現状、6ヶ月以下の懲役or50万円以下の罰金 ②電子マニフェストの使用の義務化
特別管理産業廃棄物に関して義務化
③仲介業者への廃棄物管理の丸投げの禁止
排出事業者責任が希薄にならないような措置
④WDS(廃棄物データシート)の一部義務化
危険・有害物質含有物に対するWDSの義務化
⑤親子会社間における自ら処理の拡大
分社化後の自ら処理を継続するためなどの特例化

処理業者に関すること
①許可取消された処理業者に対する行政処分
許可取消後も改善命令などの行政処分が可能
②移動式がれき類の破砕処理施設の設置許可
許可不要であったものの許可必要との変更

制度に関すること
①残留性有機汚染物質(POPs物質)の制度
規制対象物質の制度的な位置付け
②市町村の処理困難物の産廃業者への委託
産廃処理施設者への一廃処理施設の設置の特例制度
③建築物の解体時の残置物の取扱いの周知
自治体、一廃業者、建設業者の連携による円滑な処理
④雑品スクラップヤードに対する行政の規制
有価物となる雑品であっても行政の規制対象
⑤廃掃法、バーゼル法の重複手続きの簡素化
輸出の簡素化と、不法輸入に対する規制強化
⑥優良認定処理業者の認定基準の見直しなど
不適合業者の措置と、認定業者へのインセンティブ等
⑦(再生利用)認定制度の活用と、指定制度の周知
不適正処理とならないための再生利用制度の見直し
⑧グリーン購入等を促すための措置
行政等におけるグリーン購入等の促しなど
⑨太陽光発電機器等の処理方法制度の検討
3Rの観点での選別処理など、再生利用制度の検討
⑩焼却施設からの熱回収の推進
産廃、一廃の焼却施設からの廃熱利用の拡大
⑪許可申請等の負担軽減や合理化
広域認定などの申請の電子化や、産廃許可申請の合理化など


廃棄物処理法改正のパブリックコメント http://www.env.go.jp/press/103385.html
以上のように、昨年はじめに事件化された廃食品の横流し(ダイコー事件)を受けて、そのようなことが繰り返されないようにというのが、今回の改正の主たる内容となるのではないでしょうか。確かに、大きな社会事件となってしまったので、そのように対応せざるを得ないというのはそのとおりでしょう。よって、この法改正を機にこのような残念な事件に歯止めがかかることを祈るばかりです。
さて、米国ではトランプ氏が大統領となり、日本ではますますのアベノミクスによって、これまで以上の経済重視の世の中となっていくことでしょう。 ところで、少し前まで騒いでいた「地球環境の問題」はどこに行ってしまったのでしょうか?廃棄物処理法の改正も、経済性に相乗りするわけではないですが、今後はこれまでと違った観点で、例えば欧州のように「リサイクル」をいうのを”キー”に経済が活性化され雇用が創出されるような仕組みとなるような法改正も面白いかもしれません。
日本には、先人から受け継がれた”もったいない精神”という堂々たる文化もあります。そのような文化を4年後の東京オリンピック・パラリンピックでも世界にアピールできれば、少しは「環境」を顧みるというきっかけになるのではないでしょうか。